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2013年1月26日東京:「食べてはいけない」…チーズ?が奪った小5女児の命 教訓活かされず…

ミスは繰り返され、最悪の結末を招いた-。東京都調布市の市立富士見台小学校で昨年12月、乳製品アレルギーがある5年生の女児(11)が、チーズ入りの給食を食べて死亡した事故は、担任教諭の確認ミスによる惨事だったことが判明し、警視庁が業務上過失致死容疑も視野に捜査している。同校では事故の3カ月前にも1年生の男児にアレルギーがある給食を誤って配り、病院に搬送されたばかり。教訓が生かされない失態に保護者らは認識の甘さに怒りをぶつける一方、症状や対応が生徒によって千差万別という現実が教育現場を悩ませている。(大島悠亮、中村翔樹)

 ■「食べてはいけない」食材、担任確認せず

「余っているよ。食べる人はいない?」
昨年12月20日午後0時50分ごろ。死亡した女児の担任の男性教諭はおかわり用に残っていた給食をお盆に入れ、教室内を尋ねて回っていた。
「おかわりがほしいです」
この日の給食のメニューには粉チーズが入った韓国風お好み焼き「じゃがチヂミ」があり、女児の乳製品アレルギーを把握していた学校側はチーズを除いたチヂミを特別に出していた。女児は自分の分を食べきってしまい、教諭におかわりを求めたのだ。
教諭は「大丈夫か?」と尋ねた。女児は両親が自主的に作っていた「食べてはいけない食品」に線が引かれた献立表に目を通したが、「じゃがチヂミ」の欄には線が引かれていなかった。教諭もそれで食べても大丈夫と判断し、チーズの入ったチヂミを渡した。
昼休みが終わった午後1時25分ごろになり、女児が「気持ちが悪い」と体調不良を訴えたことで事態は急転する。教諭はアレルギー症状を改善する薬が入った注射を手に取り、「打つか?」と尋ねた。女児は拒絶したが、みるみるうちに顔が青白くなっていった。
最終的に校長の判断で約10分後に注射が打たれ、女児は救急車で病院に搬送されたが、約3時間後に死亡。行政解剖の結果、死因はアナフィラキシーショックという急性アレルギー反応とみられるという。 調布市教委によると、同校では食物アレルギーへの対応が必要な生徒ごとに、食べてはいけない食材に「×」印を記載した「除去食一覧表」、いわゆる「おかわり表」を作成していた。
だが、教諭は当時、表を確認しないで女児にチヂミを渡していた。 教諭は「とても話を聴ける状態ではないほど、憔悴(しょうすい)している」(市教委)という。

■3カ月前にも男児が発症…アレルギー教育も検討

同校での食物アレルギーによる事故は今回だけではなかった。しかも、死亡事故からわずか3カ月前のことだった。 市教委によると、昨年9月27日、卵にアレルギーがある1年生の男児が給食でオムレツを食べた直後にせき込み、鼻水が出始めた。異変に気付いた担任教諭が男児を保健室に連れて行き、保護者に連絡。病院で点滴などの治療を受け、軽症だったために帰宅し、翌日から登校しているという。
男児は自宅から特別にオムレツに変わるおかずを持ってきていたが、調理担当者が誤ってオムレツを配膳したという。男児は転校してきたばかりで、おかわり表が作成されていなかった上、オムレツがアルミホイルで包まれた状態で出されたために担任らが気付かなかったとみられる。
男児の事故を受け、同校は10月30日に食物アレルギーの研修会を全教員を対象に実施。死亡した女児に誤ってチヂミを渡した男性教諭も出席しており、安全確認の徹底などを周知していたが、死亡事故を防ぐことはできなかった。 今月7日に開かれた保護者説明会では、教諭らの認識の甘さを非難する声が相次いだ。
「なぜ教訓が生かされなかったのか」
「またこういうことが起きてしまうのではないか」
市教委は今月10日、食物アレルギーの専門医らをメンバーとする検証委員会を設置。死亡した女児の給食に関する教職員間の情報共有の実態などを検証し、2月中にも結果をまとめる。平成25年度からは児童、生徒へのアレルギー教育の実施なども検討している。

■427人が届け出…症状は「千差万別」

女児の死因となったアナフィラキシーショックは、特定の食物やハチの毒など体内の異物を排出する際に起きる急性のアレルギー反応。全身の発疹や血圧低下、呼吸不全など複数の臓器に同時に症状が出るのが特徴で、症状が重ければ死亡するケースが多い。
「一人一人の症状が千差万別で、同じ児童、生徒でもアレルギー症状が出るかどうかはその日の体調次第で異なるため、地道な情報収集が欠かせない」
子供の食物アレルギーに詳しい千葉大学大学院医学研究院の河野陽一教授(小児免疫)はこう指摘する。 調布市教委によると、今年度、食物アレルギーがあるとして学校側に届けられている児童、生徒は小学校293人、中学校134人の計427人。アレルギーを発症して救急搬送されたのは昨年11月末現在、富士見台小1年の男児を含め3件だった。
河野教授は「軽症のケースなどは報告されていない可能性もある。全体像を把握することが何より大事だ」とした上で、「給食は本来、友達と楽しく食べるもの。必要以上に神経質になり、アレルギーを持つ子供が毎日お弁当を食べさせるようでは問題の解決にはならない」と強調する。
教訓が活かされないまま起きた死亡事故という最悪の結末。女児の遺族は「全国的にも活用できるような再発防止策を考えてもらいたい」との意向を示しているという。

参照元:産経新聞 2013年1月26日(土)14時32分配信分

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