2010年3月3日東京:保育所経営の女書類送検
<うつぶせ寝>5カ月の女児死亡 託児所元経営者を書類送検
2010年3月3日10時51分配信 毎日新聞
東京都足立区の無認可の託児所で05年10月、預けられていた生後5カ月の女児をうつぶせに寝かせて死亡させたとして、警視庁捜査1課は3日、託児所の元経営者の女性(47)を業務上過失致死容疑で書類送検した。女性は保育士や看護師の資格を持たず、都に託児所開設の届け出もしていなかった。捜査1課によると、女性は「監督や監視を怠った私に責任がある」と容疑を認めているという。
送検容疑は、05年10月21日午後2時ごろ、同区大谷田2の自宅マンションに開設した託児所「保育ルームちいろば」の保育室で、同区の会社員男性(42)の長女桑原くるみちゃんをうつぶせに寝かせたまま放置。監視を怠り、窒息死させたとしている。捜査関係者によると、当時室内には女性とくるみちゃん、男児(3)の3人がいた。女性は同日午後2時ごろ、くるみちゃんがミルクを与えても泣きやまないため、うつぶせにして放置。その後、別室でたばこを吸ったり、パソコンを操作していた。約2時間後、異変に気付き、くるみちゃんの胸をたたいたところミルクを吐き出したが、搬送先の病院で間もなく死亡した。
捜査1課は、司法解剖結果の鑑定を医師に依頼し、死亡とうつぶせ寝の因果関係を慎重に捜査していた。くるみちゃんに乳幼児突然死症候群の可能性はなく、ミルクがのどに詰まった状態で放置したことで死亡したと判断した。託児所は事故後閉鎖された。【古関俊樹、神澤龍二、山本太一】
◇「許せない」と女児の母親
桑原くるみちゃんの両親は3日朝、捜査員から書類送検の連絡を受けた。母親(37)は取材に「事故から5年近くたつが、今でも娘を殺されたという気持ちでいる。許すことができない」と話した。
男の子2人をもうけた両親にとって、くるみちゃんは待望の女の子だった。兄弟で一番大きい体重3488グラムで生まれ、ミルクをよく飲む元気な子だった。笑顔がかわいらしく、父親(42)は「絶対お嫁にやるもんか」と大切に育てていた。
両親は共働きするため、くるみちゃんが2カ月の時に「保育ルームちいろば」に預けることにした。電話帳に大きな広告が出ていたので信用できる託児所だと思った。
05年10月21日夕、仕事を終え、迎えに行った母親は「くるみちゃんの呼吸が止まり病院に運んだ」と職員に言われた。医師から「助からない」と聞かされ、頭が真っ白になった。病院で会った経営者の女性は泣きながら「ごめんなさい」と土下座した。
母親は「同じような事故で被害に遭う人は多い。捜査で事実を解明し、二度と同じような事故が起きないようにしてほしい」と話した。【山本太一】